理系脳で紐解く日本の古代史

既存の古代史に挑戦!技術と交通インフラを軸に紀元前後から6世紀頃までの古代史を再考する!

13 神話が歴史をつくる!

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 江戸時代末期から大東亜戦争までは、特異な眼差しで古代史に向きあった時代でした。
 周知のように、天孫降臨や神武東征はもちろんのこと、『記・紀』に記載された多くの神話や伝説も、歴史的事実として政治利用されたからです。
 昭和の初期には、神武東征ルート上の各地を聖跡であるとし、その場所がどこであるかを特定するため、「聖跡探し」が盛んに行われました。古代史の研究エネルギーの大半がそこに投入されたのです。科学的根拠のない「後づけ」ですよ!

 これほどの国家的企みは有史以来存在しなかったでしょう。

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12 神武東征と天孫降臨神話

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 前回のブログで、政権中央によって新しく創作された建国神話は、地方の神話、民衆の神話が持つ「神話力」を利用しながら作られた述べました。
 誰も知らない神々ばかりが活躍する神話ではなく、民衆が伝承してきたよく知られた神話や、各氏族に伝わる神話を用い、そこに新しい意味や主張を乗せながら国家の由来を説く建国神話に仕立て上げたのです。

 今回は、建国神話の根幹を成す神武東征と天孫降臨の二つを題材に、このことを深掘りしてみましょう。
 神武東征は神武天皇、天孫降臨はニニギノミコトが主役であって、いずれも天皇家に固有の伝承に見えます。しかし、実は「東征」も「天からの降臨」も、天皇家だけの特別な伝承ではなかったのです。

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11 記紀神話と歴史について

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 神話は、物事の始まりを神がつくり出した、或いは神が決めたと語る物語です。実際にあったかどうかを問うものではなく、それを信じる人が真実として語るものでしょう。今回は、日本の建国を綴った記紀神話と古代史の関係について考えてみます。

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10 漢委奴国王印をめぐる諸説

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 前回記した「漢字伝来」の補足になりますが、西暦57年の漢委奴国王印(金印)について若干言及します。

 この金印は、封泥のためのもの、駅鈴のような権威を表すものなどの諸説があり、奴国王が後漢の皇帝からもらったものとされています。

 1784年、博多から程近い志賀島で発見されました。弥生遺跡とは無関係に、しかも田畑のなか、あたかも石で囲われたような不自然な格好で……。ちょっと不思議。
 当然、議論は沸騰しました。奴国の存在が証明された、紀元前後には文字を読める人がいた、と。

 ここから、話が少しそれるのですが、金印は贋作だという説がにわかに湧きおこっています。贋作だとすると、紀元後、間もない時期に文字が日本に伝わった証拠にはなりません。

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9 日本における文字の古史料

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文字の古史料
 日本人が文字に接触してから使いこなすまでの歴史は、おおよそ以下のような経緯をたどったと想定されます。

 

 まずは接触のエビデンスです。
• 西暦57年===志賀島で発見された金印に刻まれた「漢委奴国王」の文字。
•1~2世紀====弥生遺跡から出土した銅銭に鋳出された「貨泉」の文字。

 この二例は確かに漢字の伝来ですが、漢字の「伝来」と「使用」とはまったく次元が異なります。

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