理系脳で紐解く日本の古代史

既存の古代史に挑戦!技術と交通インフラを軸に紀元前2世紀頃から6世紀頃までの古代史を再考する!

世界史

117 5世紀までの朝鮮半島、日本との通交・対峙(3)

前回からの続きです。 栄山江流域の前方後円墳 朝鮮半島南西部の栄山江流域(えいさんこう)には、日本の古墳と酷似する前方後円墳が13基確認されています。これらの前方後円墳は突然出現して、急速に姿を消しています。5世紀後半から6世紀前半に成立した…

116 5世紀までの朝鮮半島、日本との通交・対峙(2)

前回ブログの続きです。 高句麗・三韓の合従連衡 391年に高句麗では広開土王(好太王とも、在位391~412年)が即位し、百済に占領(371年)された領土の回復を図り、396年には漢江以北の地を奪回します。そこに至る高句麗変貌の歴史を確認してみます。 4世…

115 5世紀までの朝鮮半島、日本との通交・対峙(1)

第97回ブログで朝鮮半島の古代史を概括しました。 また、4世紀における日本と百済・伽耶の関係については第111回ブログでやや詳しく言及しました。しかし、それでもまだ足りません。 今後、5、6世紀までの日本の古代史に触れるには、遠交近攻が渦巻く朝鮮…

97 朝鮮半島の古代史と倭系遺物

ここまでヤマト国の伸長について言及してきましたが、当時、通交面でもっとも関係の深かった朝鮮半島の状況を確認しておく必要を感じたので、今回は紀元前から4世紀頃までの半島の古代史を概括します。 古代朝鮮半島の民族は、北部が騎馬民族系、南部が韓民…

56 古代の帆船

古代日本で帆船は実用に供されたのだろうか 外洋を手漕ぎで進むのは体力的に厳しい。でも外洋をまたいで往来した証拠はあまりにも多い。こうしたことから、古代日本においても、外洋は帆船で航行したという説を唱える研究者が大勢います。しかし日本では、中…

48 馬の利用

<勧修寺の菖蒲> 急遽思いつきました。陸上交通といえば馬を欠かすわけにはいきませんね。今回は馬について言及します(第44回ブログで予告)。 『日本書紀』には、スサノオ(神代だけど、あえて言えば弥生時代かな?)が、いろいろな乱暴狼藉をする場面で…

42 ギリシャの空間構造に似た日本列島の地形

<ギリシャの地形図> ギリシャの空間構造に似た日本列島の地形 前回のブログで言及した「脊梁山脈の縦貫・分断された国土・狭く少ない平野」に関連して、松木武彦氏による興味深い論考を見つけました。当ブログにとって大切なポイントなので、少々長くなる…

37 日本列島人はどこからやって来たのか(2)

<荒れる海> 前回のブログからの続きで、日本列島人の来歴を民族、人種の観点から紐解いてみます。 縄文から弥生への移行は平和裏に進んだ 最近の学説では、紀元前10世紀頃、水田稲作の技術が長江下流域の江南から九州北部と朝鮮半島南部に伝わり、日本では…

36 日本列島人はどこからやって来たのか(1)

第27回のブログでは、3万年前の航海を再現する実験考古学について言及しました。ホモサピエンスが南西諸島方面から日本列島へと航海した謎を解くためのプロジェクトでしたね。 ここであらためて、日本人の祖先はいつ頃どこからやってきたのか、その歴史を、…

34 独立発達か伝播か

<福寿草> 日本の古代史を論考する場合、「伝播の力」を軽視すると大怪我をします。統治や征服などの政治的手段によらなくても、たとえ人が移住しなくても、細々とした交通路や粗末な交通手段さえあれば、チャレンジャーたちの旺盛な好奇心によって文化・宗…

8 先史最大の情報伝達革命、「ことば」・文字の発明と使用

人類進化の大きな画期となった「ことば」の発明 人類は、「ことば」が使用される以前、意思疎通を表情、身振り、叫び声でやり取りしていたわけです。ノンバーバルコミュニケーションですね。 アメリカの心理学者メラビアンが実験したところによると、意外な…